スマートリモコン、今や家電を遠隔操作するデバイスとしてすっかりお馴染みなりました。さらに「Matter」や「Thread」といった新しい規格がここ数年の間に登場し、スマートホームの世界はどんどん進化しています。
そんななか、これらの最新規格にいち早く対応したブランドが「Aqara(アカラ)」。
この製品の特徴は以下のとおりです。
- Matter・Thread・Zigbee・Wi-Fi・赤外線、主要な通信を1台でカバー
- Matterコントローラー機能で他社デバイスもまとめて管理
- Apple Home・Amazon Alexa・Google Homeすべてに対応
- Threadのローカル通信で驚くほど速いレスポンス
- 充実の自動化機能&ハブクラスターで停止しない安心設計
今回は、同ブランドのフラッグシップモデル「スマートリモコン M3ハブ」を実際に使ってみましたので、その実力をレビューしていきます。
スマートリモコンの域を超えた「スマートホームハブ」とも呼べるこの製品、どういった点が優れていて、逆にどこが課題なのか。細かい部分まで含めて解説します。
- Threadローカル通信で操作レスポンスが圧倒的に速い
- Matterコントローラーで他社製品もAqaraアプリから一元管理
- Apple Home・Alexa・Google Home・Home Assistantと幅広く連携
- 自動化機能が非常に充実(条件分岐やハブクラスターにも対応)
- 有線LAN・PoE対応で通信安定性が高い
- 初期設定でエラーが出やすくセットアップにやや時間がかかる
- 日本語ローカライズが不完全(フォント・プリセットなど)
- 価格が18,480円と他社スマートリモコンより高額
Aqara(アカラ)はどんなブランド?
Aqaraは、Xiaomiエコシステムパートナーであるスマートホーム製品メーカーです。海外ではすでに知名度があり、とくにセンサーやスイッチなどの製品ラインナップが充実しています。
最大の特徴は、スマートホームの新しい共通規格「Matter(マター)」への完全準拠を掲げている点です。Aqaraの担当者によると、Matterへ積極的に準拠していく方針とのこと、その関係でAppleホーム対応へも力を入れているようです。

Matterとは、異なるメーカーの機器をひとつのアプリで操作できるように作られた規格のこと。これまではメーカーごとにアプリが分かれて不便でしたが、Matterに対応した製品同士なら垣根なく連携できるようになります。
下の画像はAqara Homeアプリの「外部エコシステム」画面です。Apple Home、Amazon Alexa、Google Homeはもちろん、Matterやサードパーティデバイス、日本未展開ながらHome AssistantやSmartThingsにまで対応しており、これだけ幅広い外部サービスに対応しているブランドは珍しいですね。

Aqara M3ハブの外観とスペック
今回レビューするのは、MatterとThreadに対応した同社のスマートリモコンのフラッグシップモデル「Aqara M3ハブ」(型番:HM-G01E)。「スマートリモコン」という名前ですが、実態はスマートホームの”頭脳”ともいえる多機能ハブです。
本体スペックをまとめます。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | HM-G01E |
| サイズ | 105 × 105 × 36.5 mm |
| 重量 | 約200g |
| Wi-Fi | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz / 5GHz) |
| Zigbee | Zigbee 3.0(IEEE 802.15.4) |
| Thread | Thread(ボーダールーター) |
| Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
| 赤外線 | 対応(学習リモコン機能 / 有効距離 約7m) |
| 有線LAN | 対応(PoE給電可能) |
| 最大接続台数 | 127台 |
| 対応アシスタント | Apple Home / Amazon Alexa / Google Home / Siri |
| Matter | コントローラー / ブリッジ対応 |
| 電源 | USB-C(5V/2A)/ PoE(48V/0.27A) |
| 参考価格 | 18,480円(税込) |
注目は、Wi-Fi(2.4GHz/5GHz両対応)・Zigbee 3.0・Thread・Bluetooth 5.1・赤外線と、主要な通信規格をほぼすべてカバーしている点。Wi-Fiの5GHz対応はスマートリモコンではかなり珍しく、ラトックシステムのSmaliaくらいしかありません。
さらに有線LAN接続とPoE(LANケーブル1本で電源供給とネットワーク接続を同時にまかなえる仕組み)にも対応。Wi-Fiの不安定さが気になる方でも安心ですね。


最大127台のデバイスを接続できるキャパシティも、本格的なスマートホームを目指す方には心強いスペックです。
Aqara M3ハブのレビュー
Aqara M3ハブを実際に利用してみましたので、レビューしていきます。
セットアップはやや苦労するが手順自体はシンプル
初期設定はAqara Homeアプリの案内に沿って進めます。M3ハブ本体の裏面には2種類のQRコードが印刷されていて、1つは「Apple Home用」、もう1つは「Aqara設定用」です。電源を入れるとLEDがオレンジ色に点滅し、セットアップモードに入ります。


設定の流れは以下のとおりです。
- Aqara Homeアプリをインストール&アカウント作成
- M3ハブ本体のQRコードをアプリで読み取り
- Wi-FiのSSIDとパスワードを入力
- デバイスの登録完了
Wi-Fi設定画面では2.4GHzと5GHzの両方が選択可能。一般的なスマートリモコンは2.4GHzのみ対応なので、これはうれしいポイントですね。

手順自体はシンプルなのですが、正直に言うとここで少し苦労しました。QRコード読み取り後にアプリ上でデバイス登録のエラーが何度か発生し、完了までに時間がかかったんですよね。iPhoneの場合はAppleホームネットワークへのアクセス許可も求められます。
他社製品のように比較的安定接続で完了する製品と比べると、初期設定はやや大変です。ただし、一度設定が完了すればあとは快適そのもの。その先に待っているThreadネットワークの快適さを考えれば、最初だけの辛抱と思えます。


赤外線リモコンの登録は直感的でかんたん!
M3ハブはスマートリモコンとしても機能します。赤外線リモコンの登録は、対応する家電の種類を選ぶところからスタート。テレビ、エアコン、プロジェクター、空気清浄機など12種類の家電カテゴリに対応しています。


エアコンの登録では、M3ハブに向けてリモコンのボタンを押すだけ。赤外線信号を自動で学習してくれます。プリセットのデータベースからメーカーと型番を自動マッチングする仕組みもあり、「空調は応答しましたか?」の質問に答えていくだけで最適なリモコンデータが見つかります。


登録が完了すると、アプリ上にフル機能のリモコンが表示されます。エアコンの場合は温度が大きく表示され、モード(冷房・暖房・自動・送風・除湿)や風速の切り替えもスマホから操作可能。実物のリモコンとほぼ同じ操作感で、とても使いやすいです。


接続が完了した家電は一覧画面でステータスを確認でき、温湿度センサーの接続状況なども一目でわかります。


Threadローカル通信で操作レスポンスが驚くほど速い
M3ハブで最も感動したのが、操作レスポンスの圧倒的な速さです。ボタンを押してから家電が反応するまでのタイムラグがほぼなく、「ちゃんと動くかな?」と不安になるあのもたつきがありません。
これまで使っていた他社のスマートリモコンでは、音声操作やスマホからの遠隔操作でワンテンポ遅れる感覚がありました。クラウド(インターネット上のサーバー)を経由するぶん、どうしても遅延が生じるんですよね。
しかしAqara M3ハブはThread(スレッド)によるローカル接続に対応。Threadとは、機器同士が網の目のようにつながる「メッシュネットワーク」を構成し、インターネットを介さずにデバイスを直接制御できる通信規格です。

実際にWi-Fiルーターの電源を抜いてテストしたところ、ネットに接続していない状態でもデバイス操作ができました。万が一ネット回線が落ちてもスマートホームが止まらないのは、日常的に使っている身として大きな安心感ですね。
また、一般的なWi-Fi接続のスマートホーム製品は2.4GHz帯に依存しており、電子レンジなど同じ周波数帯の家電と干渉して不安定になることがあります。Thread通信ならその心配もなく、通信が途切れるストレスは一度も感じませんでした。
Matterコントローラーで他社製品もまとめて管理できる
M3ハブの最大の目玉が、Matterコントローラーとして機能する点です。単にMatterに対応しているだけでなく、M3ハブ自体がコントローラーとなり、他社のMatter対応デバイスもAqaraアプリからまとめて操作できます。
アプリのMatter連携画面では、「Matter生態系」と「Apple HomeKit」の2つの接続方法を選択可能。連携時にはペアリング用のQRコードが表示され、他のエコシステムから読み取る形式です。


メーカーごとにアプリを切り替える手間がなくなり、「ひとつのアプリですべて完結」の環境に近づきます。Apple Home・Google Home・Alexaとの連携もスムーズで、プラットフォームを選ばない柔軟性が魅力ですね。
Apple Home・Alexa・Google Homeすべてと連携できる
M3ハブは3大AIアシスタントすべてに対応しています。特に注目すべきはAppleホームにも登録できる点。
これまでのスマートホームデバイスは、これに対応するには数少ないHomeKit対応製品を選択するか、Homebridgeと呼ばれるオープンソースのブリッジサーバーを導入する必要がありハードルが高かったのです。
そのApple Homeとの連携は、アプリから「接続」ボタンを押してホームを選択するだけ。完了すると「ブリッジが追加されました」と表示され、iPhoneのホームアプリからM3ハブ配下のデバイスを操作できるようになります。


このようなことから、特にiPhoneを始めとするAppleユーザーにとても相性の良い製品です。
Amazon Alexaとの連携も手軽です。Alexaアプリから「Aqara Home」スキルを有効にし、アカウントをリンクするだけで完了します。


どのAIアシスタント経由でも、Threadのおかげかレスポンスは非常に速いです。「アレクサ、リビングの電気をつけて」と話しかけると瞬時にエアコンがつきました。
自動化機能が圧倒的に充実している
Aqara Homeアプリの自動化機能は、他社と比較しても群を抜いて充実しています。大きく分けて「シーン」と「オートメーション」の2つがあります。
「シーン」機能は、複数の操作をワンタップで実行するもの。「おやすみ」ボタンひとつで照明OFF・エアコン調整・施錠を一括実行できます。
「オートメーション」機能はさらに高度で、トリガー(きっかけ)に対してアクションを設定するだけでなく、追加の条件を細かく設定できます。たとえば「ドアが開いたら照明をつける、ただし日没後に限る」「人がいて、かつ室温28度以上のときだけエアコンをON」といった、かなり複雑な条件付き自動化が可能です。


Aqaraはセンサー類のラインナップがとても充実しているので、ドア開閉センサーや人感センサー、温湿度センサーと組み合わせることで自動化の幅がさらに広がります。

- 玄関ドアの開閉を検知して、家族のスマホに帰宅通知を送る
- 部屋の温度が一定以上になったら、自動でエアコンをオンにする
- 日没後に人感センサーが反応したら、廊下の照明を自動点灯する
さらにM3ハブならではのユニークな機能として先述の「ハブクラスター」があります。M3ハブを2台以上設置すると自動でメッシュネットワークを構成し、最適なハブがリーダー役を担当。
1台が故障してももう1台が自動で引き継いでオートメーションを実行し続けるため、家の自動化が途切れない安心感があります。広い家や複数階の住宅ではとくに心強い機能ですね。
気になる点:日本語ローカライズと価格
一方で気になる点もありました。
まず日本語ローカライズがまだ完全ではないこと。アプリの翻訳が不自然な箇所がいくつかあり、フォントも中国系の書体が混じっていたりします。
赤外線リモコンのプリセットも海外メーカーのものが多めで、日本市場向けの最適化は発展途上という印象です。機能が豊富なぶんメニューの階層も深く、スマートホーム初心者にはやや敷居が高いかもしれません。
そして価格。18,480円(税込)は、SwitchBot ハブ2(約8,000円)やNature Remo mini(約5,000円)と比べると2〜3倍の価格差があります。
ただしM3ハブは単なるスマートリモコンではなく、Matterコントローラー・Zigbee/Threadハブ・赤外線リモコン・有線LAN対応など複数の製品の機能を1台に集約した製品。これらを個別にそろえるコストを考えれば、高額すぎるともいえません。
レビューまとめ
Aqara M3ハブは、スマートリモコンの域を超えた「スマートホームハブ」です。初期設定やローカライズ、価格は人を選ぶ要素ですが、セットアップさえ乗り越えれば、安定性と操作の快適さは群を抜いています。
Threadによるローカル通信は、インターネット障害時にも家の自動化が止まらない安心感をもたらしてくれます。「とりあえずスマートリモコンを試してみたい」方にはSwitchBotやNature Remoがおすすめですが、将来的にデバイスを増やして本格的な自動化をしたいなら、最初からM3ハブを選んでおくのが賢い選択です。
- 初めてスマートリモコンを使う初心者の方
- なるべく安くスマートホームを始めたい方
- より日本へのローカライズを重視する方
- 本格的にスマートホームを構築したい中級者以上の方
- Apple Home(HomeKit)連携を使いたいiPhoneユーザー
- Matter時代に備えて環境を整えたい方
- 通信の安定性・レスポンスの速さを重視する方
以上です!スマートホームの新規格「Matter」と「Thread」を本気で体験してみたい方には、現時点でベストな選択肢のひとつだと思いますよ!


