
ウォールフィットテレビ LW1 レビュー|壁掛けテレビの新たな選択肢!パナソニックビエラの4K有機EL画質とデザイン性を徹底検証

近年、リビングのインテリア性を高める手段として壁掛けテレビの需要が高まっていますが、設置工事のハードルや配線の問題で導入をためらうケースも少なくありません。
パナソニックの「ウォールフィットテレビ」は、そうした課題に対する一つの解決策を提示する製品です。
本製品の主な特徴は以下の通りです。
特徴
- 石膏ボードの壁にピンで固定するため、大掛かりな工事不要で設置可能
- チューナー部とモニター部が無線接続のため、アンテナ端子の位置に縛られないレイアウトフリーを実現
- チューナー部での番組録画に対応
- 多彩なVOD(ビデオ・オンデマンド)サービスに対応
- スマートフォン連携による遠隔操作や録画番組の視聴が可能
筆者も、部屋のレイアウト上、アンテナ端子から離れた石膏ボードの壁にテレビを設置したいというニーズがあり、本製品を購入しました。
本記事では、パナソニックの「ウォールフィットテレビ(TH-55LW1L)」を1年以上使用した経験に基づき、その設置方法、画質、利便性について詳しくレビューします。
目次
ウォールフィットテレビ(LW1) レビューサマリ
ウォールフィットテレビは、55インチの有機ELパネルを搭載し、壁にスリムに取り付けられる点が最大の特徴です。
専用のピンで固定するため、大掛かりな工事が不要でありながら、壁との隙間を最小限に抑えた設置が可能です。
1年以上の使用でも安定性に問題はなく、白いフレームが壁紙と調和し、インテリア性を高めています。
チューナー部が無線分離型であるため、アンテナ線の配線を気にせず設置場所を選べる点も大きなメリットです。
メリット
- 専用ピンによる固定方式で、専門業者による工事なしでも安定した壁掛け設置が可能
- 4K有機ELパネルとパナソニック独自の映像エンジンによる高画質
- 視野角が広く、壁との一体感が高いデザインにより、側面から見ても美しい外観を維持
- 壁掛け特有の配線の煩雑さが少なく、テレビ周りの清掃やメンテナンスが容易
- 別売りスタンド使用時は、壁寄せテレビとしてもスタイリッシュに設置可能
デメリット
- モニター本体の外部入力ポート数が少ない(HDMI×2)
- 無線伝送の特性上、ごくまれに映像が一瞬途切れる場合がある
- 本体の薄型化を優先しているため、スピーカーの音質は価格帯を考慮すると標準的
ウォールフィットテレビの導入理由と背景
ウォールフィットテレビは、同スペックの一般的な有機ELテレビと比較して高価な価格設定です。
しかし、筆者が導入を決めた理由は、以下のとおりです。
壁掛け工事のハードルとコスト
通常、テレビを壁掛け設置するには、以下の方法が考えられます。
- 壁掛け金具とホッチキス(または細いピン)を用いる簡易的な方法(例:壁美人)
- 壁に直接ネジで金具を固定する方法
- 壁寄せテレビスタンドを利用する方法
- 専門業者による壁面補強工事や配線隠蔽工事
方法1や2では、金具の厚みによりテレビと壁の間に数センチ〜十数センチの隙間が生じやすく、壁との一体感を得にくい場合があります。
また、賃貸物件では大掛かりな工事(方法4)は難しく、原状回復の懸念もあります。

ウォールフィットテレビは、専用ピンで固定することにより、壁へのダメージを最小限に抑えつつ、壁面にピッタリと設置できる点が大きな決め手となりました。
アンテナ端子の位置による制約
テレビを設置したい場所が、壁のアンテナ端子から離れているケースは少なくありません。
筆者の書斎も同様で、アンテナ線を接続するには部屋を横断するように長いケーブルを引き回す必要があり、美観や清掃の面で課題がありました。

ウォールフィットテレビはチューナー部が分離しており、モニターへ映像を無線伝送します。
これにより、アンテナ線の位置に関わらず、電源さえ確保できれば好きな壁面にモニターを設置できる自由度の高さが魅力的でした。
プロジェクター利用時の課題(日中の視認性)
省スペース化のためにプロジェクターを使用していましたが、日中の明るい環境では視認性が低下するという課題がありました。
特に窓に近い壁面では、遮光カーテンなしでの視聴は困難です。

その点、本製品は高輝度の有機ELテレビであり、室内の明るさに応じて画質を自動調整する機能も備えているため、時間帯を問わず快適な視聴環境が期待できました。
ライフスタイルの変化への対応(引っ越し・模様替え)


将来的な引っ越しや部屋の模様替えを考慮すると、大型のテレビ台や大掛かりな壁掛け工事はためらわれる要素です。
本製品は取り外しが比較的容易で、石膏ボード壁であれば再設置も可能です。
また、別売りの専用スタンドを使用すれば、壁掛けができない環境でもスタイリッシュな据え置きテレビとして使用できます。

長期的な使用を見据えた際の柔軟性も購入動機となりました。
インテリアと調和するホワイトフレーム
多くのテレビのフレームは黒色ですが、本製品は珍しいホワイトフレームを採用しています。
筆者の部屋は白を基調としたインテリアで統一しているため、壁紙や他の家具と調和するデザインは、機能面だけでなく審美面でも大きな購入動機となりました。


設置プロセスとポイント
ウォールフィットテレビの設置は石膏ボード壁が前提です(コンクリート壁は不可)。
設置作業は55インチのモニターを取り扱うため、安全上2人以上での作業が必須です。
詳細は、以下の公式サイトの動画をご参照ください。
設置手順の概要と、筆者が実際に設置を行った際のポイントを紹介します。
1.開封と準備
背面の構造はスリム化のために工夫されており、電源ケーブルは背面の面ファスナーで長さを調整できます。






2.位置決めと型紙の貼り付け
同梱されている設置用の型紙を壁に貼り付けます。
この際、テレビが傾かないよう、水平器(スマートフォンのアプリでも代用可)を使用して正確に水平を取ることが非常に重要です。



3.フック金具の固定
型紙のガイド穴に合わせてフック金具を配置し、専用ピンを壁に押し込みます。
ピンは合計30本打ち込む必要があり、多少の手間はかかりますが、同梱の工具を使えば力を入れずに作業可能です。



4.ピン穴の確認
ピンを抜いた後の穴は画鋲程度でほとんど目立ちません。賃貸物件でもパテで容易に補修できるレベルであり、原状回復のハードルは低いと感じました。


5.モニターの取り付け
壁に固定したフック金具に、モニター背面の受け金具を引っ掛けるようにして設置します。下部はマグネットで固定される仕組みです。



番外.配線処理の工夫
設置自体は簡単ですが、電源ケーブルや外部機器(ゲーム機など)のケーブルが垂れ下がると、せっかくの壁掛けの美観が損なわれます。
筆者は別途配線モール(市販品)を用意し、ケーブル類をまとめました。これにより、見た目がスッキリし、清掃もしやすくなるためおすすめです。

ウォールフィットテレビ 使用レビュー
1年以上使用して感じた、画質、機能性、利便性について詳述します。
壁面と一体化するスリムなデザイン
本製品の最大の魅力は、壁からディスプレイ表面までの薄さが約3.5cmというスリムさにあります。
従来の壁掛け設置とは異なり、壁との一体感が高く、まるで壁画やスマートディスプレイのような印象を与えます。

有機ELパネルは視野角が非常に広いため、斜めから見ても色味の変化や輝度低下が少なく、美しい映像を維持します。
白いフレームが壁紙に溶け込むため、映像だけが浮かび上がるような視聴体験が得られ、インテリア性を重視するユーザーにとって大きな満足点となるでしょう。


写真については、USBメモリに保存し、そこから配信することができます。自動的にバックミュージックにジャズが流れ、癒やされます。
このテレビを設置するだけで、室内の雰囲気を作ることができ、インテリアを一層引き立たせるテレビであると感じてています。
高コントラストな4K有機EL画質
画質面では、有機ELならではの引き締まった黒と高いコントラスト性能が際立ちます。
パナソニック独自のパネル制御技術「Dot Contrast パネルコントローラー」により、画素単位での輝度制御が行われ、明暗差の大きい映像でも階調豊かに表現されます。

出典:https://panasonic.jp/viera/feature/LW-series/picture.html
安価なディスプレイに見られるような過度なギラつきがなく、自然で正確な色再現性は、地上波放送からVODコンテンツまで幅広く対応します。
特に暗いシーンの多い映画や、色彩豊かなコンテンツの視聴において、その実力を発揮します。


自然な色味なのも素晴らしいです。
これは、画素単位で明るさや色の情報を個別で制御するビエラ独自のパネル制御「Dot Contrast パネルコントローラー」により、明部の豊かな階調や色表現を可能にしているようです。

また、ビエラは有機ELディスプレイを1台ごとに製造ラインで測定し、測定結果に応じたホワイトバランス・階調表現調整を行っているとのこと。

出典:https://panasonic.jp/viera/feature/LW-series/picture.html
これにより明るさや色の均一性を実現しています。
これは筆者の偏見も含みますが、価格の安い海外製の有機ELテレビは、発色がギラつきすぎたり、地上波放送を見ると色味が合わないことが多いです。
その意味で、国産エンジンを積んでいるビエラがこのテレビを発売したことは非常に大きいものと考えています。その安心感もあって購入しました。
無線伝送の安定性と利便性
本製品は、チューナー部からモニターへ4K映像を含む放送データを無線伝送します。
アンテナ線の位置を気にせず設置できる利便性は非常に高いです。


購入前は無線伝送の安定性に懸念がありましたが、1年以上使用した中で、映像が途切れたのは12時間に1回程度、それも2〜3秒間ブラックアウトする程度、実用上の大きな支障はありませんでした。
スポーツ観戦時も倍速補間機能が有効に働き、残像感の少ない滑らかな映像を楽しめます。

※映像はモザイク処理済み

※映像はモザイク処理済み
何より、先述の通り、配線をすっきりと設置できることが大きな利点です。
筆者が設置した場所には先述のように部屋を回り込むようにアンテナ線を敷設しなければなりません。
この製品は、これだけ滑らかな映像を楽しめるにもかかわらず、電源ケーブルだけでスッキリと設置できるのが良いポイントです。
ゲーム機接続時の注意点と没入感
外部機器との接続に関しては注意が必要です。
HDMIポートはモニター本体の側面に配置されており、壁にぴったりと設置した状態からケーブルを抜き差しするには、モニター下部を持ち上げて隙間を作る必要があります。
頻繁に機器を入れ替える用途には向きません。

また、HDMI入力ポートが2つしかないため、複数のゲーム機やサウンドバーを接続する場合、HDMIセレクターが必要になる可能性があります。


これが少し大掛かりで、頻繁にケーブルを抜き差しする際は面倒なのが欠点です。また、HDMIの入力ポートが2つしかないのも、ネックです。
その代わり、この製品はもともと壁掛けの製品であるため、テレビの下側のレイアウトを柔軟にできます。
筆者は、下に棚を配置し、インテリアとしてうまく見せることができました。
一見して、テレビ台と変わらないのでは?と思われるかもしれませんが、棚はテレビ台と比べて簡単に配置変更ができたり、テレビ台以外の使い方もできたりするため、インテリア面に優れ、掃除もしやすいです。


一度設置してしまえば、配線やモールを使ってケーブルをまとめることができるため、すっきりと設置することができます。
これは購入前に1番気にしていた点でしたが、設置した後に支障が出ることはありませんでした。
4辺フレームでスッキリとした見た目が、ゲームをプレイする際の没入感も非常に高くなります。
先日の通り、ハイコントラストの映像美はゲームプレイにおいても現れ、『スプラトゥーン3』をプレイした際には、インクの色が非常に鮮やかに見え、より賑やかな雰囲気となりました。


一方で、設置後の視聴体験は良好です。
スリムなフレームデザインにより、ゲームプレイ時の没入感は非常に高いです。
PS5などの4K/120Hz対応ゲームも、有機ELの高画質と滑らかな表示で存分に楽しむことができました。
格闘ゲームのような、映像表示や入力遅延にシビアなものでも、快適にプレイすることができます。
スマート機能とVOD連携
主要なVODサービス(Netflix、Amazon Prime Video、YouTubeなど)に対応しており、リモコンから直接アクセス可能です。


映像は、ディープラーニングを活用しAIが学習する仕組みとなっており、リビングのテレビよりも鮮やかな画質で視聴できました。


また、Amazon AlexaやGoogleアシスタントといったスマートスピーカー連携にも対応しています。
音声操作で電源のオンオフやチャンネル変更、音量調整が可能で、スマートディスプレイのように活用できます。

Alexaでの操作例
操作 | セリフ |
---|---|
電源ON/OFF | テレビをつけて |
テレビを消して | |
チャンネルを変更する | テレビのチャンネルを<チャンネル名>にして |
テレビを次(前)のチャンネルにして | |
テレビのチャンネルを<チャンネル番号>にして | |
音量を変更する | テレビの音量をあげて(さげて) |
テレビの音量を 5あげて(さげて)※ | |
テレビの音量を20にして ※ | |
テレビをミュートして(ミュート解除して) | |
ストリーミングコンテンツの再生を制御する ※ 操作するアプリの対応状況による | テレビを一時停止して |
テレビの再生を再開して | |
テレビの再生を停止して | |
テレビで次(前)へ | |
入力を切り替える | テレビの入力をHDMI1にして |

壁にぴったりと張り付いているディスプレイを、音声でハンズフリー操作できることには、未来感がありました。
テレビというより、スマートディスプレイと言っても過言ではない存在です。
メンテナンス性(清掃の容易さ)
長期使用で感じた意外なメリットは、メンテナンス性の高さです。
従来のテレビスタンド設置では背面に埃が溜まりやすいですが、本製品は壁に密着しているため埃の侵入スペースが少なく、清掃はフレーム上部をハンディモップで拭くだけで完了します。


また、ピンのみの取り付けではありますが、1年以上利用してみて、本体が全く外れたりすることがなく、地震(〜震度4)が発生した際もびくともしないほど、安定していました。
それほど強固に設置できるにもかかわらず、簡単に取り外すこともできます。
設置の章で述べた通り、ピンのみの設置であるため、ネジベンチでそこまで力をかけずに取り外すことができます。

長期間使ってみて、壁掛けにもかかわらずメンテナンスがしやすいという点が、隠れたメリットであると感じました。
気になった点と改善策
本製品は特性上、いくつかのトレードオフが存在します。導入を検討する際は以下の点に留意が必要です。
スピーカー音質
薄型化を優先した設計のため、スピーカー性能は価格帯を考慮すると物足りなさを感じる可能性があります。
本製品は画面自体を振動させて音を出す「画面振動スピーカー」を採用しており、音の広がりは感じられるものの、中低音域の迫力には欠けます。

また、設置する壁の材質や構造によっては、隣室へ音が響きやすい場合があります。
音質にこだわる場合や音漏れが懸念される場合は、別途サウンドバーの導入を推奨します。

筆者もサウンドバーを併用することで、音質と音漏れの問題を改善しました。
電源ケーブルの処理
無線伝送によりアンテナ線は不要ですが、モニター本体の電源ケーブルは残ります。
このケーブルが壁を伝うため、配線処理をしないと目立ってしまいます。本体のデザイン性が高いだけに、ケーブルの存在が際立つ可能性があります。
前述の通り、筆者は配線モールを活用して美観を整える工夫をしています。


配線モールを使うことで、配線がすっきりと収まり、ウォールフィットテレビの白いフレームとも調和して、外観もスマートになった印象です。
外部接続機器を導入しない場合でも、配線モールを購入したほうが見た目としては良いとさえ思えます。
スマート機能が整っていてVODなどが見られると言っても、テレビを買うからにはゲーム機などに接続したいと思う方は多いかと思います。
ウォールフィットテレビに合った配線モールが同梱されていると、より良いと感じました。
チャンネル切り替えの応答速度
先述の通り、リモコンでのチャンネル切り替え時に、有線テレビよりもわずかな遅延(もたつき)が感じられます。
視聴中のストレスになるほどではありませんが、素早い操作感を求める方は留意すべき点です。
※音無し・一部モザイク処理済み
レビューまとめ
パナソニックのウォールフィットテレビは、「壁掛け設置のハードルを下げ、配線の自由度を高める」という明確なコンセプトを持つ製品です。
壁との一体感を生むデザイン性、有機ELパネルによる高画質、無線伝送によるレイアウトフリーは、従来のテレビ設置では得難い大きなメリットです。
一方で、音質や外部入力端子の仕様については、薄型・一体型デザインとのトレードオフとなっています。
本製品の特性を理解し、自身のライフスタイルや設置環境に合致するかどうかが選択の鍵となります。
おすすめできない方
- テレビ本体のスピーカー音質を最優先する方
- ゲーム機やレコーダーなど、多くの外部機器をHDMIで接続したい方
- 壁との隙間や配線を気にせず、コストパフォーマンスを重視して壁掛けしたい方
おすすめできる方
- インテリア性を最優先し、テレビを壁に美しく溶け込ませたい方
- 賃貸物件などで、壁へのダメージを最小限にして壁掛けを実現したい方
- アンテナ端子の位置に関わらず、好きな場所にテレビを設置したい方
- 高画質な有機ELテレビでVODやゲームを楽しみたい方