アイロボット社から登場した「ルンバ105AE」は、同社のラインナップではエントリーモデルという位置づけながら、最新のナビゲーション技術と自動ゴミ収集機能を搭載した製品です。
かつては上位モデルにのみ許されていた高度な知能が、6万円切りの製品にまで搭載されるようになってきたことの意義は大きく、より多くのユーザーの体験がよくなるのと、これからのロボット掃除機の「新基準」も予感させます。
本記事では、実際に本機を利用した結果に基づき、その進化を詳しく解説していきます。
外観:機能性と清掃効率を追求したデザイン
ルンバ105AE(Roomba 105 Combo ロボット + AutoEmpty 充電ステーション)は、アイロボット社が長年培ってきた「掃除機としての本質」を大切にする姿勢が色濃く反映されているように感じました。詳しくチェックしていきましょう。
ブラシ構成と清掃の基本構造

本体底面を確認すると、毛とゴムブラシを組み合わせたシングルアクションブラシが採用されています。
上位機種にあるデュアルアクションブラシ(2本のゴム製ブラシ)ではありませんが、この構成は一般的なロボット掃除機に多く採用され、フローリングの隙間の微細なホコリから、カーペットに絡みつく髪の毛まで掻き出す実力を持っています。
ClearView LiDARの搭載による変化

最も大きな外観上の特徴は、本体上部に配置された「ClearView LiDAR」の突起です。
このセンサーにより、カメラナビゲーションを採用していた従来の一部モデルと比較すると、本体の高さは約10.4cmと若干の厚みが生じています。
しかし、これは単なるデザイン変更ではありません。後述する高度な空間認識能力を実現するための不可欠な進化です。
家具の下を掃除させる際には、この数センチの高さの変化を事前に確認しておく必要がありますが、それによって得られるナビゲーションの安定性は、高さを補う恩恵があります。
水拭き機能と給水システム

本機は掃除機掛けと水拭きを同時にこなす「コンボ」仕様です。ダストボックス部分には注水口が設けられており、ここから直接水を注入することで、水拭きの準備が完了します。


装着されるモップには、上位モデル譲りの「スマートスクラブ」技術が適用されており、単に床を濡らすだけでなく、適切な圧力をかけながら前後にごしごしと磨き上げる構造となっています。
ルンバ105AE レビュー
ここからは、実際の使用体験に基づき、本機の特徴を深掘りしていきます。
新アプリとClearView LiDARの融合による走行性能の向上
筆者がルンバ105AEを稼働させて最も印象深かったのは、その「迷いのない動き」です。
1. 新アプリによるユーザー体験の刷新
刷新されたRoomba Homeアプリは、ロボット掃除機の使い勝手を劇的に向上させました。
特に旧アプリと比較して、走行経路がより詳細に可視化されるようになった点は特筆すべき点です。
リアルタイムでロボットがどのエリアをどのように清掃しているかが手に取るように分かるため、掃除の進捗を正確に把握できます。


また、従来同様部屋割りの進入禁止経路まで柔軟にマップ編集ができ、自宅の配置をしっかりと登録することが可能です。


もちろん、従来からの進入禁止エリアの指定などもできます。
ここで登録した部屋割りは、走行中にどこを清掃しているかを教えてくれます。
このような細かい心配りが新アプリの良さを感じさせるポイントでした。
2. ClearView LiDARによる精密な空間把握
実際のマップ作成能力についても、ClearView LiDARの恩恵を強く実感しました。検証環境において、床に荷物が置かれていたり、椅子の脚が複雑に並んでいたりしても、部屋の構造を極めて正確に検知していました。

走行中にどの部屋を清掃しているかをアプリや通知で確認できる機能は、単なる便利機能を超え、ユーザーに高い安心感を与えます。
3. 進化を感じさせる走行性能
1〜2世代前のロボット掃除機では、家具や壁への衝突を繰り返しながら進むことも多くありました。
しかし、本機においては、障害物を事前に認識して減速し、ソフトにアプローチするか、あるいは巧みに回避する動きを見せます。
壁や家具へのハードな衝突はほとんどないと言っても過言ではありません。
一方で、清掃能力を損なわないよう、壁際や隅ギリギリまで攻める挙動は健在です。この「ナビゲーション能力」と「ClearView LiDARによる空間認識」の相乗効果こそが、結果として清掃カバー率の向上、つまり清掃能力の底上げに直結していると感じました。
ただし、本機は上位機種に搭載されている前面カメラは搭載しておらず、小さな障害物(床に落ちているコードや小物)を回避することはできません。
この機能が必要な場合は、より上位の505シリーズや705シリーズの購入を検討されてみてください。
4.段差乗り越え能力にも優れる
走行性能には、段差乗り越え能力も含まれます。
筆者調べとなりますが、以下の動画の段差は約2.4cmあります。
他社含め、これまでいくつか検証してきたロボット掃除機は、この段差を乗り越えられないものもありましたが、ルンバ105はしっかりと乗り越えてきました。
同時にテストした上位モデルのルンバ705の方がスムーズに乗り越えがされましたが、廉価版にも関わらずパワフルさがあると感じました。
5. 自動充電・自動再開のインテリジェンス
上位モデルと比較すると、スマート清掃機能が無かったり走行性能が影響していたりするためか、一回で走行できる時間はやや短いようです。
筆者が100平米ある住宅で検証したところ、一回目の走行では全体の清掃を完了できず、一度充電ステーションへと戻りました。


しかし、良いポイントは充電完了後に「清掃を中断したその場所から正確に再開される」点です。
これにより、広い住環境であっても、ユーザーが介入することなく、最終的には二度手間なしで家全体をきれいに保つことができます。
吸引力も上がっている:スペック数値に惑わされない本質
エントリーモデルながらゴミの集塵力は十分にあると感じました。詳しく解説します。
1. 実感できる集塵量の増加
筆者は以前「ルンバ690」を利用していましたが、当時と比較して、ダストボックスに溜まるホコリの量が増加しているように感じました。

これは特に、絨毯(じゅうたん)を敷いている住居での検証において、顕著な差として現れました。
カーペットの奥に入り込んでいたと思われるチリも確実に掻き出されており、この一点においてだけでも、古いモデルから買い替える価値は十分にあると言えるでしょう。
仕様上では、吸引力が従来モデル(600シリーズ)と比較して最大70倍へと強化されています。
エッジクリーニングブラシで隅のゴミを掻き出し、複数の床に対応した毛のブラシで浮かせ、強力な吸引力で吸い込み、最後にモップで仕上げる。
この「4段階クリーニングシステム」こそが、ルンバが誇る清掃の根幹です。

引用:https://store.irobot-jp.com/item/Y351260.html
ただ、その分清掃音も結構したため、この点はトレードオフとも言えそうです。
2. 吸引圧力(Pa)と清掃性能の関係について
ロボット掃除機では「Pa(パスカル)」という単位を用いて吸引力をアピールするケースが増えていますが、Paはあくまで「吸引圧力(真空度)」を示す指標であり、実際の「清掃性能(ゴミの除去能力)」とイコールではありません。
一般的な掃除機と同様に、ヘッドの構造やブラシの設計が重要です。
ルンバが誇るこのクリーニングシステムは、数値化しにくいものの、実際の床をきれいにする能力において極めて高い水準にあります。
一見分かりにくい指標ではありますが、こうした自社製品ベースでの表記を行い、実効的な清掃力も追求する姿勢こそが、アイロボット社の品質の高さと業界標準であることを表れです。もっと注目されてよいポイントです。
3. 上位モデルとの差異
もちろん、すべてにおいて上位モデルと同等というわけではありません。上位モデルのルンバ705やルンバ505には、より集塵効率の高い「デュアルアクションブラシ」や、汚れている箇所を局所的に何度も清掃するスマート清掃機能が搭載されています。
今回のレビューでは並行してルンバ705、ルンバ505を検証しましたが、ブラシ性能が良いのと汚れている箇所を局所的に何度も清掃していたために、それらモデルのほうがカーペットや絨毯でホコリが取れる量が多かったのも事実です。
特にルンバ705のディープクリーニングモードはかなりの量が取れたので、このあたりのゴミの集塵性能や水拭きの性能を重視するなら上位モデルを検討すると良いです。
この本体性能×お値段でAutoEmpty充電ステーションがある価値
ルンバ105AEの最大のハイライトの一つが、AutoEmpty 充電ステーションの標準装備です。
1. ゴミ捨ての自動化がもたらす解放感
ロボット掃除機を導入しても、毎回の清掃後に溜まったゴミを手動で捨てる作業は、意外にも手間のかかるものです。
これがないと、ほぼ掃除の度になかのゴミを書き出す手間があり、実用上とても面倒に感じられます。
本機はこの工程をほぼ自動化しており、最大75日間のゴミをステーション内の紙パックに収集する仕組みとなっています。
2-3ヶ月に1回この紙パックを捨てるだけなので、日々のメンテナンスで手を汚す必要もなく、手間な作業もなく実用的です。
2. 紙パックの品質と衛生面
アイロボット社のこだわりは、交換用の紙パックにも現れています。
紙パックのはめ込み口が固く設計されており、取り外す際やセットする際にゴミが散乱しづらい構造になっています。
また、高いフィルター性能にも注目です。紙パック自体が0.7ミクロンのアレルゲンを99%取り除く仕様となっており、排気のクリーンさにも配慮されています。
ロボット掃除機の中には、ゴミを収集する際にチリやホコリがステーション周辺に漏れ出すものもありましたが、ルンバの気密性の高さは特に際立っているように感じました。

なお、上位モデルと違ってモップの温風乾燥機能はないため、この点はメンテナンスが必要です。
水拭き後は、ユーザー自身でモップの洗浄と乾燥を行うことが、衛生面を保つポイントとなります。
AIアシスタントからの操作も可能
ルンバは元々、スマートホーム連携をかなり意識して作られていました。その点は、AE105でも健在です。
Alexaなどの音声操作に対応しており、スマートフォンを取り出すことなく清掃を開始できます。
特に「部屋を指定して掃除ができる」機能は非常に重宝します。例えば「アレクサ、ルンバでキッチンを掃除して」と指示するだけで、特定のエリアのみを清掃させることが可能です。
他社にはこの「音声で部屋を指定して清掃」できないものが多いため、ルンバの特権の一つです。
この「音声操作で部屋を指定して清掃」や「スケジュール機能」は、自宅でほかの家事をしている場合に家事のピークシフトをしたり、不在時に清掃してくれるので結果時短に大きくつながります。
なお、本機は最新の共通規格「Matter」に対応していないようです(2025年12月現在)。
Matterに対応すると、主にAppleホームにも登録できる点が良い点ですが、ちなみに、ルンバ705では対応しており、アプリもMatterを介した連携がサポートされているため、今後に期待したいですね。
なお、ルンバは他のスマートホーム製品と組み合わせると、「外出時にエアコンや照明を消すのと合わせ清掃を開始」といった一括操作もできたりします。
このスマートホームの組み合わせが、時短や清掃漏れの防止にも有効なので、この点に興味があれば以下の記事もご参考ください。

他社と比較した時の安心感と基本品質
ロボット掃除機を選ぶ際、スペック数値以上に重要なのが「信頼性」です。
1. 老舗ブランドとしての安心感

アイロボット社はロボット掃除機のパイオニアであり、その蓄積されたデータとユーザーコミュニティの広さは随一です。
万が一の際のサポート体制も整っており、消耗品も入手しやすいため、長期間安心して使い続けることができます。
2. 細部まで徹底されたローカライズ
ロボット掃除機の中には、ロボットの音声案内が不自然な日本語(カタコトな話し方)であったり、アプリ内のフォントや表記に違和感があるものも見受けられます。
しかし、ルンバは完璧に日本語化されており、日本のユーザーが直感的に使えるよう配慮されています。
3. 耐久性と基本品質
筆者の実体験としても、昔のモデルを長年利用してきましたが、壊れにくい印象を持っています。
筐体にはエントリーモデルながらブランドならではの高級感と重厚感があり、掃除機としての「吸う、動く、戻る」という基本動作の安定性が高いレベルにあります。
ゴミを吸い取る際のブラシの接地角度や、排気が床のホコリを舞い上げないような設計など、カタログスペックには現れにくい「基本品質の高さ」こそが、ルンバが選ばれ続けている理由に感じます。
上位モデルとの妥協点
ルンバ105AEは非常に優れたコストパフォーマンスを誇りますが、上位モデル(705や505など)との比較において、ユーザーが理解しておくべき「妥協点」も存在します。
今回は上位モデル3製品を同時にレビューしましたので、以下の表に上位モデルとの違い、メリットとデメリットを整理しました。
| 項目 | ルンバ105AE(本機) | 上位モデルとの比較における注意点 |
| 清掃スピード | 賢いが、バッテリーの関係で広範囲は充電を挟む。 | 上位モデルの方が一気に終わらせるスタミナがあった。 |
| 集塵システム | 標準的な毛・ゴムのシングル構成。 | デュアルアクションブラシの方がカーペットの奥まで強い。 |
| 集中清掃 | 基本的な自動清掃。 | 上位モデルは汚れている場所を検知して何度も往復する。 |
| メンテナンス | 自動ゴミ捨てはあるが、モップ乾燥は手動。 | 上位モデルはモップの温風乾燥まで自動化される。 |
詳細のスペック比較は以下のとおりです。
| 項目\品名 | Roomba 105 Combo ロボット + AutoEmpty 充電ステーション | Roomba Plus 505 Combo ロボット + AutoWash 充電ステーション | Roomba Max 705 Combo ロボット + AutoWash 充電ステーション |
|---|---|---|---|
| 品番 | Y351260 | N185060 | X185060 |
| JAN | 885155046383 | 885155046154 | 885155045805 |
| 無線通信 | Wi-Fi 2.4GHz帯 | Wi-Fi 2.4GHz帯/5GHz帯 | Wi-Fi 2.4GHz帯 / 5GHz帯 |
| ルンバ本体サイズ(cm) | 33.6(奥行き)×33.5(幅)×10.4(高さ) | 35.7(奥行き)×35.1(幅)×10.6(高さ) | 37.2(奥行き)×36.6(幅)×10.5(高さ) |
| 充電ステーションサイズ(cm) | 17.1 (奥行き) ×21.3 (幅) ×29.3 (高さ) | 45(奥行き)×31.5(幅)×47(高さ) | 45.6(奥行き)×43(幅)×43.2(高さ) |
| 製品重量 | ロボット本体:約2.92kg 充電ステーション:約3.07㎏ | ロボット本体:約4.3kg 充電ステーション:約6.3㎏ | ロボット本体:約5.72kg 充電ステーション:約8.47kg |
| 電源方式 | 充電式リチウムイオン電池 (充電時間:約4時間) | 充電式リチウムイオン電池 (充電時間:約4時間) | 充電式リチウムイオン電池 (充電時間:約4時間) |
| セット内容 | ロボット本体、バッテリー(内蔵)、AutoEmpty 充電ステーション (電源コード一体型 / 紙パック装着済み)、パッドプレート、マイクロファイバーモップパッドx1 | ロボット本体、バッテリー(内蔵)、AutoWash 充電ステーション(紙パック装着済み+交換用紙パックx1)、電源コード、パッドプレート&モップパッドx1セット(2個)、交換用DualClean モップパッドx1セット(2枚) | ロボット本体、バッテリー(内蔵)、AutoWash 充電ステーション(紙パック装着済み+交換用紙パックx1)、電源コード、交換用デュアルエッジクリーニングブラシx1セット、交換用フィルターx1、洗剤サンプル(30ml)、お手入れツール |
| 掃除機がけ:メインブラシ | 毛とゴム製のシングルアクションブラシ | ゴム製のシングルアクションブラシ | 2本のゴム製デュアルアクションブラシ |
| 掃除機がけ:吸引力 | 最大70倍※1 | 最大70倍※3 | 最大175倍※4 |
| 水拭き:モップパッド | モップパッド スマートスクラブ対応 | モップパッド スマートスクラブ対応 | ローラーモップ スマートスクラブ対応 / モップが壁際まで伸びて拭き掃除 / 清掃しながら本体で常時モップ洗浄 |
| 掃除機がけ/水拭きの切り替え | パッドプレート着脱 | パッドリフト(10mm) | ローラーモップリフトおよびローラーモップカバー |
| 充電ステーション | ◯ 自動ゴミ収集:最大75日分※2 | 〇 自動ゴミ収集:最大75日分※2 | ◯ 自動ゴミ収集:最大75日分※2 |
| 自動給水 / モップパッドの自動洗浄/自動乾燥 | ― | 〇 (温風乾燥) | ◯ (温水洗浄 / 温風乾燥 / 専用洗剤の自動投入※5) |
| 部分清掃 / 進入禁止/拭き掃除禁止エリアの設定 | ◯ | 〇 | ◯ |
| Dirt Detect™ テクノロジー 汚れを見つけて、走行回数を自動的に増やして清掃 | ― | 〇 | ◯ |
| マッピング / 物体認識 | ClearView™ LiDAR | ClearView™ Pro LiDAR PrecisionVision™ AI テクノロジー (LiDAR+カメラ+LEDライト) | ClearView™ Pro LiDAR PrecisionVision™ AI テクノロジー (LiDAR+カメラ+LEDライト) |
※1国内累計出荷台数トップのRoomba 600シリーズとの比較。(2025年2月時点)
※2全ての家庭環境において、期間を保証するものではありません。
※3米国内累計出荷台数トップのRoomba 600シリーズとの比較。(2025年2月時点)
※4フル充電の状態のスポット清掃モードの場合、国内累計出荷台数トップのRoomba® 600シリーズとの比較。(2025年2月時点)
※5別売のStayClean™ 濃縮床用洗剤を使用した場合。
まとめ
ルンバ105AEは、「実用的な知能」と「確実な清掃力」を、バランスの良い価格で手に入れたい方にとっての最適解です。
特に、ClearView LiDARによるスマートな走行と、AutoEmptyによるゴミ捨ての自動化がこの価格帯で実現されているのが良い点ですね。
それ以外にも業界標準とも言えるその品質は、何より安心感があります。
特にロボット掃除機入門機としてバランスに優れた製品なので、最初の一台におすすめします。


