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バッファロー版nasne(NS-N100)レビュー|新旧比較と今もなおおすすめな理由

2025.10.15

バッファロー版nasne(NS-N100)レビュー|新旧比較と今もなおおすすめな理由

多くのユーザーに支持されたソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)のネットワークレコーダー「nasne(ナスネ)」が、バッファローによって継承・販売されています。

nasneとは、簡単に説明すると「テレビチューナーを搭載したネットワークレコーダー」です。

地上デジタル/BS/110度CSデジタルの3波に対応したチューナーを内蔵し、番組の録画・視聴が可能です。

最大の特徴は、録画した番組や放送中の番組を、スマートフォンやタブレット、ゲーム機など、さまざまなデバイスからネットワーク経由で視聴できる点です。

専用アプリを使えば、外出先からの視聴や録画予約も手軽に行えます。

バッファロー版nasneのパッケージ
バッファロー版nasneのパッケージ

2012年の初代モデル発売当時、同様の機能を備えたブルーレイディスクレコーダーは存在しましたが、nasneほど手頃な価格で、かつ周辺機器やアプリケーションとの連携に優れた製品は少なく、画期的な存在でした。

近年では、ブルーレイディスクレコーダーをはじめ、スマートフォンへの録画番組転送(SeeQVault対応など)が可能なHDDレコーダーも多く登場しており、nasneと同様の機能を持つ製品も増えています。

そうした状況の中でも、nasneは筆者を含め現在でも根強いファンが多く、再販時には初期出荷分が即時完売し、その後の追加出荷分も完売が続いたほどの人気を博しています。

本記事では、筆者が実際にバッファロー版nasneを使用し、改めてnasneを選ぶべきポイントはどこなのかを中心にレビューします。

この記事のポイント

初代モデルの登場から現在に至るまでのnasneの魅力を、本記事で詳しく解説します。

nasneの同梱品
同梱品。本体・ACアダプター・アンテナケーブル・LANケーブル・mini B-CASカード・スタートガイド

新しいnasneになって何が変わった?

まず、バッファロー版nasneとSIE製の旧型nasneとの違いについて見ていきましょう。

筐体の変更点はほぼ無し

バッファロー版nasneは、本体の外観に大きな変更はありません。

新旧nasneの外観比較
新旧モデルを並べた外観。左がバッファロー版。

一見したところではほとんど違いは感じられませんが、注目すべきは内部に静音ファンが搭載された点です。

旧型nasneはファンレス構造でしたが、今回のモデルには静音ファンが搭載されました。

旧型nasneでは、排熱が原因かは断定できませんが、内蔵HDDが認識しなくなるという現象が一部で見られました。

静音ファンの搭載が、こうした問題の改善に繋がり、安定動作に寄与することが期待されます。

その他、背面のLANポートとUSBポートの配置が逆になっていたり、B-CASカードが「mini B-CASカード」に変更されているなど、細かな違いはあります。

B-CASカードスロットの比較
LANポートとUSBポートの配置が逆転している
左がバッファロー版nasne。mini B-CASカードに変更されている。

しかし、nasne特有のアーク型デザインは継承されており、長年のユーザーにとっては安心感のある外観と言えるでしょう。

内蔵HDDの容量アップ・外付けの選択肢もより柔軟に

一方で、ストレージ周りは大幅な進化を遂げています。

従来、nasneの内蔵HDDは最大1TBでしたが、バッファロー版では2TBに拡張されました。

録画時間の目安
最大約386時間の録画が可能とされています。(出典:BUFFALO

加えて、従来は最大2TBまでだった外付けストレージの対応容量が、一気に最大6TBまで大幅に拡張されました。

また、外付けHDDだけでなく、ポータブルHDDやSSDにも対応しています。

対応ストレージの拡充
汎用性の高いポータブルHDDや、読み込みが高速なSSDに対応した点は大きな進化(出典:BUFFALO

さらに、ファイルシステムもFAT32からXFSへと変更され、大容量ファイルを扱う際の利便性が向上しています。

この容量周りの仕様変更は、実用上非常に大きなメリットです。より多くの録画番組を保存でき、外付けストレージの選択肢も広がりました。

iOSアプリが720pのHD画質に対応

筆者が特にメリットと感じたのは、iOS版「torne」アプリの視聴画質が720p(HD画質)に対応した点です。

これまでのnasneはSD画質(480p)での再生だったため、特にiPadなどの大画面デバイスで視聴する際には、映像の粗さが気になることがありました。

バッファロー版からはHD画質での視聴が可能になり、より高精細な映像を楽しめるようになっています。

iPadでtorneアプリを使用している様子
iPadの大画面でも快適にテレビ番組を視聴可能

なお、Android版アプリは従来から720pに対応しており、引き続きHD画質での視聴が可能です。

細かな動きを確認したいスポーツ番組などを録画するユーザーにとっては、非常に有益な改善点と言えるでしょう。

PlayStation®5にも対応

バッファロー版nasneは、PlayStation®5(PS5™)にも正式対応しています。

PS5向けのtorneアプリを利用することで、PS5でテレビ番組の録画・視聴が可能です。

PS5でnasneを視聴している画面
筆者もPS5を利用しており、レコーダー機能を集約している

別売りの「メディアリモコン」を使えば、テレビのリモコンと同じような感覚で直感的に操作できます。

PS5用メディアリモコン
メディアリモコンを使えば、より快適に操作可能

PS5はUltra HD Blu-rayの再生にも対応しているため、nasneと組み合わせることで、ブルーレイディスクレコーダーが不要になるほどの高い利便性を実現します。

nasneは2019年6月に出荷を終了していたため、PS5での利用が危ぶまれていましたが、正式に対応したことで、今後も長期的に利用できる見通しが立ちました。

nasneが今なおおすすめな理由

バッファロー版nasneは、いくつかの改良が加えられているものの、ベースとなる製品は2012年に発売されたものです。

しかし、初代モデルの発売から時間が経過した現在においても、依然としておすすめできるネットワークレコーダーです。

視聴アプリ「torne」の優れた操作性

その最大の理由は、視聴・録画用アプリケーション「torne(トルネ)」の優れた操作性にあります。

torneアプリは、直感的で軽快な操作感が特徴です。「サクサク動く」と表現されるその操作性は、他のレコーダーアプリと比較しても際立っています。

また、公式キャラクター「トルネフ」による演出もユニークで、楽しみながら使える工夫が施されています。

テレビ版torneのトップ画面。トルネフが表示されている
キャラクターが視聴ランキングなどを知らせてくれるなど、愛着の湧く要素も魅力

番組表の検索や拡大・縮小といった操作もスムーズで、ストレスを感じさせません。

torneの番組表画面
torneの番組表は非常に視認性が高く、操作もスムーズ

一般的なブルーレイディスクレコーダーに付属するアプリケーションと比較して、ソフトウェアの完成度が高い点は大きなアドバンテージです。

視聴アプリケーションとしてtorneが利用できるという点だけでも、nasneを選ぶ価値は十分にあると言えるでしょう。

スマートフォンからゲーム機まで多彩なデバイスで視聴可能

nasneはDTCP-IPに対応したネットワークレコーダーであり、さまざまなデバイスから操作・視聴できるのが大きな魅力です。

前述の通り、スマートフォンやタブレットではtorneアプリを利用でき、外出先からのリモート視聴にも対応しています。

スマートフォン版torneの画面
スマートフォン版torneアプリのUI、テレビ版と遜色ない操作感

また、冒頭でも解説しましたが、PlayStation®5(PlayStation4®)純正のtorneアプリが利用できる点も大きな特長です。

ゲームコントローラーによる軽快な操作は、一般的なテレビリモコンよりも快適だと感じるユーザーも少なくありません。PS4とnasneを組み合わせることで、ご家庭のテレビをスマートテレビのように活用できます。

PS4 Pro
PS5だけでなく、PS4でも快適に操作可能

さらに、「DiXiM Play」のようなDLNAクライアントアプリを利用すれば、Fire TVシリーズFireタブレットなど、torneアプリが対応していないデバイスでもテレビ視聴が可能になります。

Fire HDタブレットでnasneを視聴
安価なタブレットが、持ち運び可能なテレビに変わります。

DLNAに対応したプロジェクター(popIn AladdinシリーズやAnker Nebulaシリーズなど)や、Android TV™搭載デバイスでも視聴できる場合があります。

Android TVでのtorneアプリ利用
プロジェクターでテレビ番組を大画面に投影することも可能
プロジェクターでnasneの映像を投影
torneアプリに対応したAndroid TV搭載プロジェクター(画像はAnker Nebula Nova)などでも視聴可能

このように、一般に流通する多くのエンターテインメントデバイスでテレビ視聴が可能になるため、nasneを1台設置するだけで、視聴環境が格段に向上します。

ブルーレイディスクレコーダーよりも導入しやすい価格

バッファロー版nasneは、内蔵HDDの容量が増加したことに伴い価格も改定されましたが、多機能なブルーレイディスクレコーダーと比較すると、依然として導入しやすい価格帯です。

近年は動画配信サービスが充実し、ブルーレイディスクレコーダーの利用機会が減っているユーザーも多いのではないでしょうか。

一方で、見逃し配信の視聴期限を気にせず、好きな番組をいつでも見たいというニーズは依然として根強く、録画機能の重要性は変わりません。

nasneは、ブルーレイディスクドライブを搭載しないことで省スペース化とコストダウンを実現しています。

録画とリモート視聴という基本的な機能に絞り込むことで、特定のニーズに的確に応えるコストパフォーマンスの高い製品と言えます。

nasne以上に洗練されたネットワークレコーダーは多くない

ブルーレイディスクレコーダー以外にも、DTCP-IP方式に対応したネットワークTVチューナーは他社からも発売されています。

しかし、専用アプリの操作性や、外付けHDDを接続した際の読み込み速度などにおいて、nasneとtorneの組み合わせに勝る製品は多くないのが現状です。

やはり、torneアプリの完成度の高さがnasneの大きな優位性となっており、現在でも有力な選択肢であり続けています。

また、nasneは簡易的なNAS(ネットワーク接続ストレージ)としても機能し、写真や音楽、ドキュメントファイルなどを保存・共有できる点も便利です。

デメリット

ここまでnasneの利点を中心に解説してきましたが、注意すべき点もいくつか存在します。

一部の旧製品・サービスに非対応

バッファロー版nasneでは、SIE製時代に対応していた一部の製品・サービスが利用できなくなっています。

バッファロー版nasneで利用できなくなった主な機能

対応機器が絞られたことで、これまでPS3や特定のブラビアからnasneを利用していたユーザーは注意が必要です。

この中で筆者が特に影響を感じたのは、スマートフォン向けアプリ「Video & TV SideView」に非対応となった点です。

torneアプリも非常に優れていますが、「Video & TV SideView」は番組のおすすめ機能など、一部でより便利な機能も備えていました。

これらの機能は利用できなくなりましたが、録画・視聴といった基本的な機能はtorneアプリで問題なく行えます。

また、PS5への対応など、新たなプラットフォームへの対応も行われています。

新4K・8K・衛星放送の視聴と録画には非対応

nasneは4Kチューナーを搭載しておらず、新4K・8K・衛星放送の視聴と録画には対応していません。

スマートフォンやタブレットでのリモート視聴が主な用途であれば、HD画質で十分高精細な映像を楽しめます。しかし、ご自宅での視聴がメインで、新4K・8K・衛星放送の録画と視聴を重視する場合には、4Kチューナーを搭載したブルーレイディスクレコーダーなどを検討するのが良いでしょう。

nasneレビューまとめ

本記事で解説した、バッファロー版nasneの主なメリット・デメリットを以下にまとめます。

メリット

デメリット

nasneはSIE製の時代から高い評価を得てきた製品ですが、バッファローへの継承によって、現在の視聴環境にも十分通用するスペックへと進化しました。

ここまで様々な点について解説してきましたが、バッファローによる販売が継続されることで、ユーザーが今後も安心してnasneを使い続けられる環境が整ったことが、何より大きな価値と言えるでしょう。

本記事で解説したように、nasneが1台あるだけでテレビの視聴体験は格段に快適になります。ネットワークレコーダーを検討している方におすすめの製品です。