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【イベントレポート】「いつもの暮らし」がそのまま備えに。防災士・家電王・RoomClipと考える「フェーズフリー」な最強ライフハック術

 近年、地震や豪雨などの自然災害が増加する中で、「防災」への意識が高まっています。しかし、「わざわざ防災グッズを揃えるのは大変」「収納場所がない」「いざという時に使い方が分からない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

 LIVING TECH協会では、設立した2020年以降、ギフトショーを後援しており、ほぼ毎回ギフトショーでセミナーをさせていただいております。スマートホームを中心とした暮らし領域のテクノロジーの普及を目指すLIVING TECH協会がなぜ小売り業界を対象とするギフトショーかというと、「日本の新しい住文化」の啓蒙のためであり、スマートホームなどに関するものをより多くの方々に知っていただくきっかけになればと思い、毎回テーマ設定をしてセミナーを企画しております。

 今回のセミナーは、2026年2月5日に東京ビッグサイトで行われた第101回ギフトショーのセミナーとして、「いつもの暮らしを災害に強くする」をテーマに、日常(いつも)と非常時(もしも)の垣根をなくす「フェーズフリー」をキーワードに、ライフスタイルについて、取り上げました。

 防災士兼ママキャンパーでもあるAyaさんのキャンプのノウハウを活かした今日からすぐに実践できる具体的なライフハック術をはじめ、RoomClipに見るユーザーのリアルな暮らしから最新の防災インテリア事情、そして家電やスマートホームを活用した安全対策まで、多岐にわたる内容でお届けした90分でした。

目次

1. 「フェーズフリー」とは? 日常と非常時を分けない新しい考え方

 まず最初に、防災士のAyaさんから「フェーズフリー」の概念と、ご自身の実践するライフハックが紹介されました。

 「日常時」と「非常時」のフェーズをフリーにするフェーズフリーとは、一般社団法人フェーズフリー協会が提唱する「日常時(いつもの暮らし)」と「非常時(もしもの時)」という社会のフェーズ(局面)の違いを越え、普段使っているモノやサービスを非常時にも役立つようにデザインするという考え方です。

 Ayaさんは、ご自身のライフスタイルである「キャンプ」がまさにフェーズフリーであることに気づいたと言います。ライフラインのない場所で自分たちで電気・ガス・水道を確保し、楽しむキャンプは、そのまま災害時のサバイバル術に通じます。テント泊で培った「不便を楽しむ工夫」や「あるもので何とかする力」は、災害時にも生きる力となります。

Ayaさんからは、キャンプスタイルを取り入れた「4つのライフハック術」が紹介されました。

①収納・掃除 ~「吊り下げ収納」で床を空ける~

玄関や寝室で「吊り下げ収納」を活用することで、日常のメリットとしては、床にモノがないため掃除がしやすく、部屋が散らかりにくい。「ここに戻す」という定位置が決まっているため、子どもも片付けがしやすくなります。 

非常時のメリットとしては、 地震でモノが散乱して避難経路を塞ぐリスクが減ります。特に暗闇での避難において、床がクリアであることは安全確保に直結します。

②備蓄・買い物 ~「見せる備蓄」と「ローリングストック」~

皆さんのご自宅でも「備蓄専用のスペースがない」という悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?Ayaさんは日常の収納家具を活用しています。リビングや寝室では、収納付きのソファやベッドを選び、その中に水やトイレットペーパーをストック。キッチンでは、食器を減らしてスペースを空け、日常使いの食材と備蓄食を一緒に管理するパントリー化。 在庫が一目で分かるようにすることで、買い忘れや買いすぎを防げます。また、「防災リュック」を旅行や出張のバッグとして日常使いするというアイデアも披露されました。旅先でアメニティや非常食を消費し、帰宅後に補充することで、自然と中身の期限切れを防ぐ「ローリングストック」が可能になります。

③料理 ~「洗い物を出さない」時短レシピ~

料理が苦手で洗い物が嫌いというAyaさんは、ポリ袋調理やキッチンバサミを多用しています。日常では時短になり、忙しい毎日のストレスが軽減され、非常時には断水時やガスが止まった時でも、少ない水と燃料で温かい食事が作れます。日常で慣れておくことが、非常時の安心感につながります。

④コミュニケーション ~「挨拶」が最強の防災~

最後にAyaさんが強調したのは「人とのつながり」です。 「自助(自分の命を守る)」が基本ですが、その次は「共助(地域で助け合う)」です。普段から近所の人に「おはようございます」と挨拶をする、地域のイベントに参加するといった些細なコミュニケーションが、いざという時の助け合いを生みます。 Ayaさんは「孤立しないこと」が防災において重要だと語り、普段からの関係作りを推奨しました。

2. RoomClipユーザーに学ぶ! インテリアに溶け込む「見せる防災」

 続いて、RoomClipの川本さんからは、RoomClipユーザー投稿から見える「防災トレンド」を紹介しました。近年、RoomClip内での「防災」検索数は急増しており、特に「安心な暮らし」への関心が高まっています。

事例①:家族の成長を感じる「防災リュックの点検イベント」

 あるユーザーは、毎年3月と9月の年2回、家族全員で防災リュックの中身を全部出し、点検することを恒例行事にしています。 子どもの成長に合わせてオムツが不要になったり、逆に好みのもの入れたりと、中身の変化で成長を実感できるイベントにしています。デザイン性の高い収納ボックスを玄関に置き、常に目に入るようにしているのもポイントです。

事例②:デザインの力で「最短動線」を確保する

 「クローゼットの奥に防災グッズがあると、いざという時に取り出せない」という教訓から、あえて玄関に出しっぱなしにできるデザインを選ぶユーザーが増えています。

 玄関に置いてもインテリアとして映えるトランクに防災グッズを収納し、さらに底にキャスターをDIYで取り付け、重い水なども子供がすぐに持ち出せる工夫をしています。また、お子様がお気に入りのペール缶の中に簡易トイレセットを収納し、非常時でもお気に入りのものがある安心感を得られる効果もありそうです。

 川本氏は、「デザインが良いから出しっぱなしにできる。出しっぱなしだからこそ、非常時に最短動線で手に取れる。デザインが命を守るという側面がある」と分析しました。

事例③:ランタンのある暮らし

 キャンプ好きなユーザーの中には、日常の照明としてLEDランタンを使用している人もいます。毎晩のリラックスタイムにランタンを灯すことで、充電切れを防げるだけでなく、停電時にも「いつもの明かり」としてパニックにならずに行動できます。

3. 家電王が警告! 「電気の安全と災害対策」

 協会の顧問でもある家電王こと中村さんからは、意外と見落としがちな「電気の安全」と最新の設備トレンドについて解説いただきました。

電源タップの寿命は「3年〜5年」!?

会場がどよめいたのが、電源タップ(延長コード)の寿命の話です。 「テーブルタップの交換目安は3年〜5年です」と中村氏。 古くなったタップは、コードが硬化して断線したり、ホコリによるトラッキング現象で発火したりするリスクが高まります。「もったいない」と思いがちですが、安全のために定期的な買い替えが必要です。中村氏は「新しいタップはデザインも機能も進化している。ポジティブな理由で買い替えを」と提案しました。

 また、扇風機やエアコンなどの家電にも「設計上の標準使用期間」があり、長期間の使用は発火事故のリスクがあるため注意が必要です。

「バスタブキャンセル界隈」と防災

 最近のトレンドとして、浴槽に浸からずシャワーだけで済ます「バスタブキャンセル」という言葉があります。これに対応するように、LIXILから折りたたみ式のファブリック製バスタブの「バストープ」の紹介がありました。普段は畳んでシャワーブースを広く使い、必要な時だけ広げてお湯を溜めるという使い方ができるものです。 これは、普段は広々と空間を使いつつ、断水時には水を貯めるタンクとして使えるという、まさにフェーズフリーな設備と言えます。また、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドなど、日常的に節水できるアイテムは、水を大切にする意識を育むとともに、災害時の水不足への耐性をつけることにも繋がります。

4. スマートホームで叶える「防犯」と「見守り」

 最後に、リビングテック協会事務局の長島さんから、スマートホームデバイスを活用したセキュリティと見守りについて紹介しました。

スマートホームは「便利」なだけではない「課題解決」のツールにもなる

 スマートホームというと「声で家電を操作する便利グッズ」と思われがちですが、防犯や見守りにおいても強力なツールになります。

• 見守りカメラ: 留守中のペットの様子や、別室で寝ている赤ちゃんの見守りに活用。

• スマート照明: 帰宅が遅くなる際、外からスマホで照明をつける、あるいはタイマー設定で自動点灯させることで、「在宅」を装い空き巣被害を防ぐことができます。

• センサー活用: 離れて暮らす高齢の親の家に、トイレや冷蔵庫の開閉センサーを設置。一定時間動きがない場合に通知が来るようにすれば、プライバシーを守りつつ安否確認が可能です。

実はプレゼントにも最適!?

 敬老の日にスマートスピーカーを贈ってテレビ電話を楽しんだり、新生活を始める夫婦にスマートリモコンを贈って「リモコンどこいった?」という喧嘩を減らしたり、地元を出て大学に進学したり、就職を機にひとり暮らしをする方の防犯グッズとしてのプレゼントなど、スマートホームデバイスがギフトとしても活用できる可能性があります。また、インテリア性の高いデバイスや製品も増えてきているので、ギフト需要としての活用可能性も高いと考えています。

まとめ:自分らしい「ライフハック」を見つけよう

 90分にわたるセミナーを通して見えてきたのは、「防災を特別視しない」という共通のメッセージでした。「防災のためにやらなきゃ」と気負うのではなく、「便利だから」「おしゃれだから」「楽しいから」取り入れたモノや習慣が、結果として自分や家族の命を守る備えになっている。 これこそが、これからの時代の「フェーズフリーな暮らし」のあり方ではないでしょうか。

 まずは、古くなった電源タップを買い替える、お気に入りのランタンをリビングに飾ってみる、そんな小さな「日常のアップデート」から始めてみてはいかがでしょうか?

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