スマート照明システムの業界標準ともいえるPhilips Hueシリーズより、新たなハブデバイス「Philips Hue ブリッジPro」が登場しました。
これまでのモデルは家庭用スマート照明の普及に大きく貢献してきましたが、IoT機器の増加に伴い、接続台数の上限や設置場所の制約といった課題も顕在化していました。
「Pro」の名称を冠した本モデルは、ハードウェア性能の抜本的な見直しにより、これらの課題を解消しつつ、将来的なMatter規格への完全対応やセキュリティ機能の統合を見据えた設計となっています。
本稿では、Philips Hue ブリッジProの技術的な仕様変更点、旧モデルとの比較、および導入時のセットアップフローについて詳しく解説します。
この記事は、シグニファイジャパン合同会社より製品を提供頂き、執筆をしております。
Philips Hue ブリッジProの技術的特徴と進化のポイント
Philips Hue ブリッジProは、外観上の変化以上に、内部アーキテクチャが大きく刷新されています。主な強化ポイントは以下の4点に集約されます。
高性能チップの搭載と処理能力の向上
最大の特徴は、プロセッサに「Quad A35 チップ + GPU」を採用した点です。
従来のスマートホームハブは比較的軽量な処理を前提としていましたが、本機は高度なアルゴリズムやAI処理を実行可能なスペックを有しています。
これにより、アプリ操作から点灯までのレイテンシー(遅延)が極小化され、より安定した動作が可能となりました。
また、高性能化に伴う消費電力の増大が懸念されるところですが、待機電力は最大0.1Wに抑えられており、常時稼働が前提となるデバイスとして優れた省電力性能を実現しています。
接続容量の拡大(ライト最大150個)
大規模なシステムを構築するユーザーにとって、最も実用的な改善点は接続容量の増加です。
旧モデルでは最大50個であったライトの登録上限が、本モデルでは3倍の「150個以上」へと拡張されました。
これにより、複数の部屋やフロアにまたがる照明を一元管理する際も、複数のブリッジを使い分ける必要がなくなります。
また、登録可能なライトシーン数も約500シーンまで増加しており、細やかな照明設定を保存する余裕が生まれています。
通信接続の柔軟性(Wi-Fi対応)
設置環境における大きな変更点は、Wi-Fi接続(無線接続)への対応です。
旧モデルはWi-Fiルーターとの有線LAN接続が必須であり、ルーター周辺の電源確保や配線の取り回しが課題となっていました。
本モデルでは電源さえ確保できれば任意の場所に設置可能です。特に、家や部屋が広い場合でも、ルーター置き場が玄関近くなど遠くまで通信ができずに挙動しなかったり、動作が不安定になることを防げるようになります。
これにより、ZigBee通信のメッシュネットワークを効率的に広げられる「家の中心」にブリッジを配置するなど、通信環境の最適化が図りやすくなりました。
新機能「MotionAware™」とセキュリティ連携
これは、3個以上の対応ライトを用いて空間内の動きを検知するセンサーとしての役割を持たせる技術です。
別途専用のモーションセンサーを設置せずとも、指定した3個の電球が人の動きの検知をトリガーにして自動的に照明をつけるといった使い方が可能になります。
嬉しいのは最新のHue電球でなくとも、第2世代以降のHueライトはこの機能に対応しているところです。感度の調節により、ペットの動きで反応させないようにすることも可能です。
さらに、日本ではHueのカメラやセキュリティセンサーは未発売ですが、自宅を不在にしているときに動きを検知したら、カラー照明を赤く点滅させたり、セキュリティカメラを起動させたりでき、照明デバイスそのものが簡易的なセキュリティシステムとして機能させることも可能とのこと。日本にも導入されることを期待したいですね。
新旧モデルのスペック比較
旧モデル(Philips Hue ブリッジ)と新モデル(Philips Hue ブリッジPro)の仕様比較は以下の通りです。
| 項目 | Philips Hue ブリッジPro(新モデル) | Philips Hue ブリッジ(旧モデル) | 備考 |
| 主要プロセッサ | Quad A35 チップ + GPU | MiPs 24kc ベース | 処理速度と演算能力が向上 |
| 接続可能なライト数 | 最大 150個 | 最大 50個 | 大規模環境に対応 |
| 接続可能なアクセサリ数 | 最大 50個 | 最大 50個 | 据え置き |
| 登録可能なシーン数 | 最大 500シーン | 50シーン(推定) | カスタマイズ性の向上 |
| ネットワーク接続 | 有線LAN / Wi-Fi | 有線LANのみ | 設置自由度の向上 |
| 新機能 | MotionAware™ | なし | センサー機能の統合 |
| 通信プロトコル | ZigBee, Wi-Fi, Matter | ZigBee | Matter規格への対応強化 |
| 参考価格 | 13,455円 | 7,980円 | 価格はAmazonを参照。※価格は変動する可能性があります |
旧モデルからの買い替えを検討する際の判断基準としては、「50個以上のライトやアクセサリーを管理する必要があるか」「ルーター周りの配線を整理したいか」「Matter対応を含めた将来性を重視するか」「MotionAwareで自動で照明点灯させたいか」の4点が挙げられます。
特にデバイス数が多い環境では、将来的なAI機能の搭載も予定されていることもあり、Proモデルへの移行による運用メリットは大きいと言えます。
セットアップ手順と導入時の注意点
Philips Hue ブリッジProはWi-Fi接続に対応しましたが、安定したセットアップを行うためにはいくつかの留意点があります。実際の導入フローに沿って解説します。
基本的なセットアップフロー
- Hueアプリの準備スマートフォンにインストールされたHueアプリを開き、「設定」>「デバイス」>「ブリッジ」>「+(追加)」を選択します。
- 電源投入本体を電源に接続します。LEDインジケーターは「赤点灯」から「白点灯」へ変わり、ネットワーク設定の準備が整うと右側のLEDが「青点滅」します。
- ネットワーク接続設定アプリの指示に従い、ネットワーク接続を行います。
- QRコードの読み込み本体裏面または説明書のQRコードをスキャンしてペアリングを行います。




本体裏面か同梱されている説明書のQRコードをhueアプリで読み込みます。
説明書にはmatter設定用のQRコードもついていますが、アプリ設定だとフル機能が使えるので、ここではアプリ設定で説明していきます。

電源につなぐと最初は電源ランプが赤く光りその後白く点灯します。ネットワークの設定準備ができると右側のLEDは青点滅にかわります。
hueアプリで本体のQRコードを読み込む。今回は無線接続で設定。

Wi-Fiにつなぐ際は、無線設定の場合、ルーターから遠いと接続失敗するケースがあるのでルーター近くでの設定をお勧めします。

接続がうまくいかない場合はこの手順で進めてみてください。解決策のチュートリアルが進行します。

接続がうまくいくとこの画面になります。

アプリで接続ができるとアップデートの確認があるので、使い始める前にアップデートをかけましょう。

アップデートは、よほど毎回リリースノートの内容を確認する必要がなければ自動更新にしておくとよいでしょう。
インストールが完了するとブリッジのセットアップは完了です。

導入時の重要なTips
① 無線接続セットアップ時の配置
Wi-Fi(無線)での運用を予定している場合でも、初期セットアップ時はWi-Fiルーターの近くで作業を行うことを推奨します。
ルーターとの距離が離れていると、初期設定時のデバイス検出やハンドシェイクに失敗するケースが報告されています。一度接続設定が完了すれば、その後は任意の場所に移動して設置することが可能です。
② 有線接続の推奨
仕様上は無線接続が可能ですが、照明システムの応答性や安定性を最優先する場合は、従来通り付属のLANケーブルを使用した有線接続が確実です。設置場所に制約がない場合は有線接続をご検討ください。
③ Matter設定について
同梱の説明書にはMatter設定用のQRコードも記載されていますが、Hue独自の機能(MotionAwareや高度なシーン設定など)をフル活用するためには、まずはHueアプリ経由での設定を行うのが適切です。Matter連携はその後に行う運用フローをおすすめします。
④ ファームウェアアップデート
接続完了後、アプリ上でアップデートの確認が表示されます。新機能の実装やセキュリティパッチの適用が含まれるため、本格的な利用開始前に必ずアップデートを実施してください。特別な事情がない限り、アプリ設定で「自動更新」を有効にしておくことで、常に最新のセキュリティ状態を維持できます。
Philips Hue ブリッジProを利用した感想
実際にPhilips Hue ブリッジProを導入してみたところ、従来のブリッジと比べて劇的な速度変化といった体感そのものはさほど変わりませんが、実用面での進化を随所に感じることができました。
まず大きな変更点として、ルーターとの接続方法が有線だけでなく無線(Wi-Fi)も選べるようになったことが挙げられます。
これにより、これまでルーター付近に縛られていた設置場所の制約がなくなり、インテリアや電波状況に合わせた自由な配置が可能になりました。
また、本体カラーがブラックになり、LEDインジケーターがホワイトに変更されたことで、稼働状態の視認性が向上したのも嬉しいポイントです。
性能面に関しては、改めてその安定感に驚かされました。筆者の自宅ではLDKだけで25個ものHue電球やフロアライトを運用していますが、操作時の遅延は一切感じられず、非常にスムーズでストレスのない挙動を見せてくれます。
他社製品ではデバイス数が増えると反応にバラつきが出ることが多々ありますが、これだけの数を繋いでも安定して動く信頼性は、まさにHueシリーズならではの強みだと言えます。
まとめ:インフラとしての信頼性が高まった一台
Philips Hue ブリッジProは、派手な機能追加というよりも、スマートホームの「インフラ」としての信頼性と拡張性を底上げしたモデルと評価できます。
特に、Matter対応は、今後さらに多様化・複雑化するスマートホーム環境において、長期的に安定した運用を支える基盤となります。また、AI機能は将来的に搭載予定であるとのことです。
既存のHueユーザーにとっては、接続台数の制約から解放される点が最大のメリットであり、これから本格的にスマートホームを構築しようとする企業やユーザーにとっては、将来性のある選択肢となるでしょう。
旧モデルより価格は高くなりますが、そのスペックに見合った堅実な進化を遂げたデバイスと言えます。
