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Philips Hue 電球シリーズ レビュー|1600lmモデルやMatter対応で「スマート照明の常識」はどう変わる?

日本の住宅事情において、「照明」への意識はまだまだ発展途上にあると言わざるを得ません。

特に賃貸住宅などでは、天井の真ん中にシーリングライトが一つだけあり、操作は壁スイッチでONかOFFにするか、リモコンで「全灯・調光・常夜灯」の3段階を切り替える程度……そんな環境が標準になっていないでしょうか?

筆者がスマート照明を使い始めたきっかけは、「照明のあり方ひとつで、家の中の快適さが劇的に良くなる」という事実を知ったからでした。

今回は、スマート照明の世界シェアNo.1ブランドである「Philips Hue(フィリップス ヒュー)」から登場した、明るさや表現力が大幅に強化された最新モデルを中心に、その機能の全貌をレビューします。

オランダ発のブランドであるPhilips Hueは、2013年に日本での販売を開始しました。照明専門ブランドならではの豊富なラインナップとアクセサリー、そして圧倒的な機能性を誇ります。「ゲーマーが部屋を派手に光らせるためのもの」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実は日常使いにおいてこそ、暮らしの質を格段に上げてくれるアイテムです。

本記事では、主要製品のアップグレード内容から、具体的な設定手順、そしてマニアックな活用法まで、余すところなくお伝えします。

この記事は、シグニファイジャパン合同会社より製品を提供頂き、執筆をしております。

目次

今回レビューする製品ラインナップ

照明のラインナップは非常に豊富ですが、今回はメインとなる「電球(バルブ)」を中心に紹介します。

カラーバリエーションは大きく分けて「フルカラー(White and Color Ambiance)」「ホワイトグラデーション(White Ambiance)」「ホワイト(White)」の3種類があり、口金サイズはE26とE17が展開されています。

【今回の主要レビュー製品】

  1. フルカラー シングルランプ E26 1600lm(100W相当)
  2. ホワイトグラデーション シングルランプ E26 1600lm(100W相当)
  3. ホワイト シングルランプ E26 1100lm(75W相当)
  4. ホワイトグラデーション シングルランプ E26 1100lm(75W相当)
  5. ホワイト シングルランプ E26 1100lm(75W相当)
  6. ST64 エジソン – E26 スマート電球(フィラメント電球)
  7. A60 – E26 スマート電球(フィラメント電球)

これら以外にも、間接照明として使える「ライトリボン」、置き型の「フロアライト」、テーブルランプ(給電タイプ/ポータブルタイプ)、屋外用製品など、家中のあかりをHueで統一できるバリエーションが存在します。

実際に使ってわかった「良い点(メリット)」と「留意点(デメリット)」

長期間の使用実感に基づき、「良い点(メリット)」と「留意点(デメリット)」を列挙します。

良い点(メリット)

  • 動作安定性が抜群: 複数個の電球をまとめて操作しても、遅延なく一斉に動作します。他社のWi-Fi電球などは反応がバラバラになることがありますが、Hueは非常に安定しています。
  • アクセサリーが豊富: スイッチやセンサーなどの物理アクセサリーが多く、スマホを使わなくても細かい操作が可能です。
  • 色温度の幅が増えた(最新モデル): 最新の電球は表現できる色の幅(色温度)が大きく広がりました(後述)。
  • 照明の概念が変わる: 「集中する」「くつろぐ」「楽しむ」など、目的に合わせて光を変える体験は、一度味わうと戻れません。
  • 防犯・見守り機能: 独り暮らしで家を空けていても、遠隔操作やオートメーション機能で「暗くなったら点灯」させ、在宅を装うことができます。
  • 配線に縛られないグルーピング: 家の電気配線(回路)に関係なく、アプリ上で自由にグループ設定が可能です。例えばLDKにおいて、壁のスイッチがリビング・ダイニング・キッチンで分かれていても、アプリ上で「LDK」としてまとめたり、「DK」だけ操作したりといったグループを自在に作れます。
  • Matter対応: すべてではありませんが、主要製品はスマートホーム共通規格「Matter」に対応しました。
  • フリッカー(ちらつき)がない: 他社の安価なスマート電球よりもフリッカーがほぼ無いため、目の負担や頭痛の恐れが少ない点も、毎日使う照明として重要です。
  • 任意のグループ設定が可能:電球をアプリで「部屋」といくつかの部屋をまとめる「ゾーン」機能があり、壁の照明スイッチで操作できるものを関係なくグルーピングできます。
  • 個々の電球へ名称設定可能:電球ひとつひとつに名前を付けることができ、アプリなどで個別にコントロールできる

留意点(デメリット)

  • 価格が高い: 一般的なスマートホームメーカーの製品と比べると高価です。(ただし、品質や安定性を考えると納得度は高いです)
  • 多機能すぎる: 機能が膨大にあるため、普通に使っているだけでは全部の機能を使いきれません。
  • サポート対応時間: 電話サポートなどが平日(月~金)の5:00~9:00しか対応していない場合があり、日中の連絡が難しいことがあります。
  • ブリッジの必要性: すべての機能(外出先操作やアクセサリー連携など)をフルに使うには、Wi-Fiルーターと有線接続する「Hue Bridge」が必要です。
  • 電球交換型である:埋め込みのLED一体型ダウンライトは交換できない
  • 照明器具の制約:密閉される照明器具(ペンダントライトなど)での使用は避けたほうが良い(熱がこもり故障の可能性)
  • 電球サイズ:通常のものに比べると少し大きい(長い)
  • 電源をONにし続ける必要性:常に照明の壁スイッチはONの状態でないとスマートコントロールできない(ただし待機電力は微量)

進化した「光の質」:1000K〜20000Kの表現力

Hueの良さは、「サーカディアンリズム(概日リズム)」を照明で表現できる点にあります。つまり、室内にいても体内時計を狂わせずに生活サイクルを安定させてくれるのです。

一日を通して白色光の寒色系と暖色系の色合いを変化させることで、太陽光を再現します。
引用:https://www.philips-hue.com/ja-jp/explore-hue/propositions/wellbeing

他メーカーのスマートLED照明も同様の機能を謳っていますが、Hueの最新モデルは「色温度の表現幅」が圧倒的に広がりました。

従来モデルや一般的なカラーLED照明は「2000K~6500K(ケルビン)」程度でしたが、最新のフルカラーモデルでは「1000K~20000K」まで表現可能になりました。

これはどういうことかと言うと、「より自然界の太陽光に近い表現」ができるようになったということです。

ケルビンの表現幅が狭いと、極端な色にしたときに「キツい色」に見えがちですが、Hueは晴天の青空のような突き抜ける青や、沈む夕日のような深い赤を自然に見せてくれるため、心地よさが変わります。

参考1.色温度の尺度(Kはケルビンを示す)
引用:https://seric.co.jp/column/column-light-and-color-vol2/
参考2.色温度の尺度(Kはケルビンを示す)
引用:https://tohohome.jp/hiroshima/blog/73/

接続方式とプライバシーへの配慮

HueはWi-Fiルーターに「Hue Bridge」を接続して使う方法(Zigbee接続)以外に、Bluetoothでの直接コントロールも可能です。

ただし、安定性や機能性を考えると、Bridge経由(Wi-Fi環境下)での利用をおすすめします。

なお、他のスマートホーム製品と異なり、Hueは個人情報のアカウントを使わなくても、ルーターのSSIDに紐づいて設定・利用が可能です。

そのため、引っ越しをしてもルーターのSSIDが変わらなければ、設定を変えずにそのまま使えるというメリットもあります(※外出先操作など一部機能にはアカウント推奨)。

Bluetooth/Hueブリッジ/Hue Bridge Pro 機能を比較する
引用:https://www.philips-hue.com/ja-jp/explore-hue/how-it-works/bluetooth

設定手順:3つのパターンと「Matter」セットアップ

設定方法は、以下の3パターンがあります。

  1. Hueアプリで製品のQRコードを読み取る
  2. Hueアプリで製品のシリアルコードを入力する
  3. Matterセットアップ

Hue製品には、電球本体とパッケージ内にシリアルコードやQRコードがあり、さらにMatter対応製品には「Matter用のQRコード」も付いています。

Hueアプリでの基本セットアップ

  1. Hueアプリを立ち上げ、「設定」→「デバイス」→右上の「+」をタップ。
  2. 「部屋」を選択します(ここでは例として「書斎」を選択)。
  3. 製品のシリアルナンバー入力、またはQRコード読み取りでセットアップします。
※QRコードの箇所にはモザイク処理を行っています。

設定時には、どの「部屋」や「ゾーン」に割り振るかを決められます。複数の電球がある場合も、まとめてQRコードを読み込んで一気に設定可能です。

複数の電球もまとめてQRコードを読んで設定できる

ライトにつけた名前は、連携したAlexaアプリなどでもそのまま読み込まれます。「アレクサ、書斎のライトをつけて」といった音声操作がすぐに可能になります。

ライトの設定ができたら、管理する「部屋」や「ゾーン」に割り当て(グルーピングし)ます。

ちなみに設定は、hueアプリでQRコードを読み込むのではなくシリアルコード入力でも設定可能です。

Matter(マター)によるセットアップ

Matter対応の電球であれば、Matter経由でのセットアップも可能です。

デバイス(電球)が通電していると、スマホ等の画面に自動でポップアップ通知が出ることがあります。QRコードを読み込んで設定を進めると、コントロールするアプリの選択画面になります。

Matterセットアップのプロセス。コントロールに使用するアプリ(ここではAlexa)を選択して連携を進める。
Alexaアプリが自動で立ち上がり、デバイスを検出・設定完了する様子。

これにより、Amazon Alexaなどのプラットフォームとダイレクトかつスムーズに連携が完了します。ここで変更したデバイス名で、「アレクサ、(デバイス名)をつけて/消して」で音声操作が可能となります。

電球ごとの比較と選び方(1600lmと1100lm)

今回、E26口金の「1600lm(100W相当)」と「1100lm(75W相当)」の実物を比較しました。

左側2つがフルカラー、右側2つがホワイトグラデーション。手前が1100lm、奥の大きい方が1600lmモデル。

画像ではわかりにくい部分もあります、500lmの差は体感ではあまりないように見えます。ただし、1600lmのほうが光源の面積が広い分、少し明るく感じるといった印象です。

横から見たサイズと明るさ比較。明るさは大きく変わらないように見えます。

一番右の画像は、次に紹介するシーン設定の4パターンを比較したイメージです。

比較結果と選び方:

  • 明るさ: 500lmの差は数値以上にあります。1600lmの方が光源(発光部分)の面積が広いため、気持ち明るく感じられ、部屋全体を照らすのに適しています。
  • サイズと用途: 1100lmの方が電球の長さ(高さ)が短くコンパクトです。スポットライトの器具に入れて使う場合、1600lmだと飛び出してしまう可能性があるため、1100lmの方がいろいろな照明器具に合わせやすいでしょう。
  • コスト: 1600lmは価格も高くなるため、普段の生活ですべてを1600lmにする必要はないかもしれません。適材適所の選択が重要です。

独自の「シーン設定」と新機能「エフェクト」

設定した電球は、アプリで「部屋」もしくは「ゾーン」を選択し、シーンギャラリーから好みのシーンを選んで「マイシーン」に追加することで、ワンタッチで色を変えられます。

「自然光」シーン

比較的最近追加された機能で、「自然光」というシーンが選べるようになりました。

これを選択すると、時間帯によって外の光(サーカディアンリズム)に合わせて、自動で照明の色温度が変化していきます。

ずっと室内にいても、急に蛍光色から電球色にバチッと切り替わるのではなく、自然なグラデーションで変化するため、違和感がありません。

以下は1100lmの3製品の比較となります。

「エフェクト」機能:キャンドルと暖炉

以前はなかった機能として「エフェクト」があります。「キャンドル」や「暖炉」といったモードを選ぶと、光がゆらゆらと揺らぎを表現してくれます。

筆者は寝室で寝る前にこのキャンドルモードにして、リラックスしてくつろぐ時間を楽しんでいます。

キャンドルの揺れの感覚(時間)や強弱など、アプリで細かく設定ができます。

Hueの真骨頂:豊富な「アクセサリー」の活用

Philips Hueの最大の魅力は、豊富な電球ラインナップだけでなく、操作を快適にするアクセサリー群にあります。

主なアクセサリー:

  • Hue ディマースイッチ
  • Hue モーションセンサー
  • Hue ダイヤルスイッチ
  • Hue スマートボタン(現在廃盤)

各リモコンやスイッチは、壁付けのプレートから取り外して手元でリモコンとして使用可能です。プレートにはマグネットで固定される仕組みになっています。

電池はいずれもボタン電池(CR2032)などで駆動します。

Hue モーションセンサーの優れた設置性

モーションセンサーは強力なマグネットを内蔵しており、土台(丸いパーツ)を壁に木ネジで固定することも可能です。

特筆すべきは土台の形状です。土台のマグネットは片方が「平ら」、もう片方が「凹型」になっています。

凹型の方をセンサー裏面の丸く盛り上がった部分に吸着させることで、角度調整が自由自在になります。

筆者宅はリノベーション時にすべての照明をHueで計画したため、室内各所にこれらを設置しています。

写真左はクローゼットの棚板受けの金具に、角度をつけて取り付け、真ん中は玄関ドアにマグネットで真っ直ぐ、写真右はトイレのトイレットペーパーホルダーの上に直置き

アクセサリーの設定方法

設定は電球同様に簡単で、本体のQRコードを読み取るだけです。

デバイスを追加します。
本体のQRコードを読み取ります。

「Hue ディマースイッチ」の場合、一番上のボタンでON/OFF、真ん中の2つでディマー(明るさ調整)、一番下の「Hueボタン」でシーン切り替えができます。

高度な設定:

  • 時間帯別の挙動: ONボタンを押したとき、「朝ならこの色」「夜ならこの色」といった設定が可能です。もちろん「時間を区切らずいつ押しても同じ色」という設定もできます。
  • シーン呼び出し: Hueボタンには最大5つのシーンを登録でき、ボタンを押すたびに順に切り替わります。スマホアプリを開かなくても、好みの色をすぐに呼び出せます。

【活用術】トイレの完全自動化設定

筆者が個人的に「秀逸だ」と感じて活用しているのが、トイレやクローゼットでのモーションセンサー設定です。

モーションセンサーの詳細設定。時間帯ごとに「シーン」と「消灯までの待機時間」を個別に設定できる。

動きを検知した時間帯に、どのシーン(調色)で、検知してから何分検知しなかったら消えるか、という設定ができます。

筆者は個人的にこれが秀逸で活用しています。

具体的には、以下の設定例の通りです。

筆者宅の設定例(生活サイクルに合わせて):

  • 07:00 ~ 21:00: 「明るい色(集中など)」で点灯。検知しなくなって3分後に消灯。
  • 21:00 ~ 23:00: 「少しトーンを落とした色(くつろぐなど)」で点灯。
  • 23:00 ~ 07:00: 「夜間照明(薄暗い色)」で点灯。検知しなくなって1分後に消灯。

こうすることで、夜中にトイレで目が覚めても、バチッと100%の明るい蛍光灯を浴びて目が冴えてしまう……ということがなくなりました。薄暗い優しい明かりの中で用を足し、寝室に戻ってもすぐに再入眠できます。

しかも、トイレでは「動きの検知がなくなってから3分後(夜間は1分後)に消える」としているため、スイッチに触る必要が一切ない「完全ハンズフリー」の環境が実現しています。

例えばお子様のいるご家庭なら、「夕飯の時間になったら色温度を変える」「寝る時間になったら自動で暗くする」といった使い方ができます。独り暮らしの方なら、「日没に合わせて点灯」させて在宅を装う防犯対策も、モーションセンサーを使わずとも電球のオートメーション設定だけで可能です。

今回は紹介しきれませんでしたが、Hueには専用機器「Hue Sync Box」を使って、テレビの映像やゲーム、音楽と照明がシンクロするエンターテイメント機能もあり、これもまた秀逸です。

その他のアクセサリー設定

  • Hue ダイヤルスイッチ: 4つのボタンにそれぞれシーンを割り当て可能。外周のジョグダイヤルを左右に回すことで、直感的に明るさを調整できます。
  • Hue スマートボタン: ボタンは一つだけですが、「何回押したらどういう動作をするか」「長押しで消灯する」といった設定が可能です。

以下は、参考までにhueダイヤルスイッチの設定画面です。ディマースイッチ同様に、どのボタンを押したらどういった挙動をするか設定が可能です。ダイヤルスイッチは、4つのボタンでシーン割り当て、ジョグダイヤルを左右に回すとディマーで明るさ調整ができます。

hueスマートボタンはボタンがひとつだけですが何回押したらどういう動作をするといった設定や長押しで消すなどの設定が可能です。

まとめ:Philips Hueは「光のインフラ」となる存在

ここまで、大幅にアップデートされたPhilips Hueの最新モデルと、その活用法を深掘りしてきました。

今回の検証で改めて感じたのは、Hueが「ガジェット」の域を超え、実用的な「インフラ」として完成の域に達したということです。

これまでは「少し暗いけれど多機能」という印象もあったスマート電球ですが、1600lmモデルの登場によって、日本の明るいリビングでもメイン照明として堂々と使えるパワーを手に入れました。

また、1000K〜20000Kという圧倒的な表現幅は、ただ部屋を彩るだけでなく、私たちの生体リズムを光で整えてくれます。

そして何より、Hueの真価は「アプリで操作できること」以上に、アクセサリーを駆使して「操作そのものを意識させないこと」にあります。 記事内で紹介したトイレの事例のように、時間帯に合わせて勝手に明るさが変わり、勝手に消える。この「気がついたら快適だった」という体験こそが、他の安価なスマート電球では味わえないHueならではの価値です。

電球1つに数千円〜1万円弱という価格は、決して安い買い物ではありません。しかし、私たちは毎日何時間もその光の下で過ごします。 目の疲れを軽減するフリッカーレス品質、安定した通信、そして日々のストレスを減らす自動化。

これらに投資することは、結果として「自分の時間」と「心地よさ」への投資になるはずです。

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